自己破産で借金帳消しにならない?!自己破産の落とし穴

自己破産は借金でどうしようもなくなったというときに使う最後の手段と誰しもが考えていると思います。自己破産で借金帳消し、人生やり直せる!と考えている方は甘いかもしれません。実は借金が帳消しにならないケースもありえるのです。

借金が過剰に膨れ上がってしまった、多重債務に陥ってしまった、借金のための借金をしているというもう前に進むこともできず、元に戻ることもできない破綻寸前の方が考えるのが自己破産です。

もうどうしようもない、苦しい生活から逃れたいという藁をもつかむ思いで考えるのが自己破産というわけですが、自己破産の大きな特徴である借金が無くならないケースもありえることは頭に入れておいたほうが良いということについて今回は忠告しておきたいと思います。

以下は債務整理の一つである自己破産の注意点を解説していきます。

自己破産の解説内容について
この記事は以下の団体を参考に解説しています。
参考:日本弁護士連合会(日弁連
参考:日本司法書士連合会
参考:法テラス

自己破産が認められないケースとは

自己破産を申請しても認められないケースが存在します。気楽な気持ちで自己破産はするものではりません。本当に自己破産すべきなのか吟味する必要があります。なぜなら、自己破産と認められないことがあるからです。

以下の項目に当てはまる場合は「自己破産の免責不許可事由」として自己破産が認められず、借金は帳消しになりません。

  • ギャンブル、賭け事
  • 飲食、遊行
  • 投機的損失(株式投資、投資信託、FX等の為替取引)
  • 自宅や現金などの資産に隠蔽発覚時
  • 債権者を全て明らかにしていない
  • 7年以内に自己破産を行っている

上記のような場合、自己破産を認められないということになっています。

特に気をつけたいのが、ギャンブルや飲食、投資による損失です。

ギャンブルはパチンコ・パチスロなどたしなむ程度でしたら何の問題もありませんが、ギャンブル依存症のようにお金をとにかくギャンブルや賭け事に費やしているような場合は自己破産が認められません。それら、裁判所の裁量によるところは多少ありますが、ギャンブルのための借金であった場合は免責となりません。

飲食による借金も認められないケースがあります。この場合、お酒の飲酒から逃れられないような場合に借金をしてまで酒を買うというケースがあります。嗜好的な飲食・飲酒は免責とはなりません。

投機ビジネスも注意が必要です。

先物取引やFX(外国為替証拠金取引)などリバレッジをかけて自分の保有する資産以上の金銭のやりとりを行う場合は儲かるときは儲かりますが、損失が出るときは一瞬でマイナスになるケースもあります。一定の金額でロスカットして損失が自分の想像以上に膨れ上がることもよくあります(そういった人は本当に自殺も考えるくらいだといいます)。これらの投機的なギャンブルに値するので負けても自己破産すればいいやと思うと本当に怖いです。

免責とならないケースは金融業者との相談も含めて、相当やっかいなケースに発展してしまうこともあるので、事前に司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。特に、自己破産や個人再生は結構な費用が発生しますので、本当に自己破産できないとなると着手金だけさらに支払うことにもなりかねません。本当に自分は自己破産可能なのかというのは確認が必要です。

基本的には任意整理ができないかというところからスタートすべきなので、まずは任意整理で何とか解決できるのかというところから弁護士や司法書士に相談するべきでしょう。

とはいえ、なんだかんだで自己破産が全くできないという方はそれほど多くはないと思います。しかし、借りたお金を返さなくても良くなる”免責”となったとはいえ、自己破産後も返済を続けなければならないケースも存在しますので注意が必要です。

今借金が返せなくて問題を抱えているのに実際問題、ギャンブルで使い込んでいたことや借金をさらに行うような行為もあった場合は自己破産を行う上での問題となります。それらは司法書士や弁護士に相談しても解決できないことも十分ありえます。

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自己破産が認められても返済しなければならないケースとは?

上記したように借金の免責、借金帳消しが認められても返済を継続しなければならないケースが存在します。

非免責債権という、免責が認められても返済をしなければならない債権、借金があります。どういったケースで存在するかというと、違法行為による罰金、税金の滞納などは借金が免責となったとしても、それらの返済義務からは逃れられません。

  • 故意に行った違法行為、不当行為による損害賠償
  • 税金の滞納
  • 故意に知らせなかった債権者からの借金
  • 罰金

これらに加え、最初に明記した自己破産が行えないケースに該当して一部免責となった場合は引き続き、返済を続ける必要があります。当たり前といえば当たり前なのですが、故意に不当なことを行って自分の責任で返済を行わなくても良いということはありません。どうせ失敗しても自己破産すればいいやと考えるような行いでは運良く借金返済の免責が認められたとしても返済を続けなければなりません。

よく考えれば当たり前のことですが、不当に行う行為は免責ではなく支払義務があります。

自己破産はあくまで借金に対する免責ですので、借金に関わらない部分の義務については自己破産後も支払義務が残ります。

裁量免責なら解決の糸口がある

投資などでどうしようもなく莫大な借金を被った場合は非免責債権だったとしても返済のあては一切ないことでしょう。本当に途方に暮れるというのはこのことです。

それでも最後は裁量免責として裁判官が特別に免責とするようなケースもあります。裁判官と1対1で面談をして状況や経緯について聞き出します。反省の弁を述べればOKというわけではありませんが、しっかり事実を伝えること、嘘はつかないこと、相談する弁護士にも裁判官のやりとりでどう伝えれば良いかなどもしっかりシミュレーションしておくことで裁判官からの裁量免責を得られることもあります。

これが最後の手段といっても良いかもしれません。

自己破産といっても本当に悪者でなければ助かることもあります。そのために真実をしっかり伝えることも大切になってきます。

まとめ

自己破産はギャンブルなどの行為による借金ではなく生活の中で発生してしまった借金について免責する行為です。わざと借金をして使い切って自己破産するといった不当な計画によるものは一切認められません。

違法行為や罰金など借金以外の部分については自己破産後も支払義務が残ります。

なお、自己破産は自分自身、個人でも申請できるものですが平日に裁判所に訪れるなどかなり苦労があると思います。可能ならお金を払って弁護士等に依頼するのが早く確実に解決する道です。

自己破産や任意整理を含めた債務整理全般については以下の記事もご覧ください。

参考:【放置厳禁!】期限の利益喪失通知が届いたらどうなる?どうする!不動産プロが緊急解説!| URUHOME

牧村和慶

株式会社Crepas 代表取締役
マネーセレクト著者・監修者。お金に関わる分野の取材活動を通じて、債務整理、カードローン、節約など問題解決に尽力している。

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